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商業漫画と広告漫画違いとは?目的や働き方、給料目安などを比較

商業漫画と広告漫画違いとは?目的や働き方、給料目安などを比較
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漫画には「商業漫画」と「広告漫画」という2つの大きなジャンルがあります。商業漫画は、物語やキャラクターを重視し、読者を楽しませることを目的とする一方、広告漫画は商品の魅力やサービス内容を短時間で効果的に伝えることに特化しています。商業漫画はエンターテインメント性を追求し、広告漫画は企業のメッセージをターゲットに届ける役割を果たします。本記事では、この2つの漫画の違いや特徴、制作過程を詳しく解説します。

商業漫画と広告漫画の違いをご存知ですか?
多くの人が「漫画」と聞いて思い浮かべる商業漫画は、読者を楽しませることを主な目的として制作され、物語やキャラクターに重点が置かれます。一方、広告漫画は商品の認知拡大や購買促進を目的とし、企業やブランドのメッセージを効果的に伝える役割を果たします。

例えば、商業漫画はエンターテインメント性を重視し、ストーリーの深さやキャラクターの成長が描かれるのに対し、広告漫画は短期間で商品やサービスの特徴をわかりやすく伝えることに特化しています。
商業漫画と広告漫画は、同じ「漫画」という形式を用いているものの、その目的や属性には大きな違いがあります。本記事では、この2つの漫画の違いをわかりやすく解説し、それぞれの特性を表形式でご紹介します。

商業漫画と広告漫画の違いとは?

はじめに、商業漫画と広告漫画の違いをわかりやすく表にまとめました。

商業漫画広告漫画
目的読者を楽しませ、収益を上げる商品やサービスのプロモーションやマーケティング
掲載場所雑誌、ウェブサイト、コミックス、展示会チラシ、SNS、バナー、WEB広告、会社ホームページ、フライヤー
ターゲット幅広い読者層(年齢や性別によるセグメントあり)商品やサービスに興味を持つ可能性のある顧客
作品例『ONE PIECE』『NARUTO -ナルト-』など商品の使い方解説漫画、サービスの体験談を描いた漫画

商業漫画とは?

商業漫画とは、主に雑誌やオンラインプラットフォームで公開され、読者を楽しませることを目的に制作された漫画を指します。エンターテインメント性が高く、読者の興味を引きつける内容が特徴です。多くの場合、週刊誌や月刊誌に連載された作品が後に単行本としてまとめられ、販売される形が一般的です。

また、古本屋やフリーマーケット、さらには個人売買アプリなどで中古の商業漫画が取引される光景も日常的に見受けられます。商業漫画の目的は、作品そのものを商品として読者に提供し、収益を得ることにあります。そのため、商業漫画自体が価値を持ち、単体で商品化できる点が大きな特徴です。

広告漫画とは?

広告漫画とは、企業や団体が商品やサービスを宣伝する目的で作成する漫画を指します。ストーリーやビジュアルを活用し、ユーザーの共感を得たり、購買意欲を高めたりすることに重点が置かれています。このため、広告漫画は会社案内や商品紹介、キャンペーン告知などに頻繁に活用されています。

商業漫画とは異なり、広告漫画は短編であることがほとんどで、単行本として出版されることはありません。作品そのものを収益源とするのではなく、漫画を通じて商品やサービスを購入してもらうことが目的であるため、基本的に無料で公開されます。そのため、広告漫画自体を商品化して収益を得る形にはなりにくいという特徴があります。

商業漫画の制作過程

1.作者がアイデアを持ち込む

商業漫画は、通常作者が自身の創作意欲やインスピレーションを基に、ストーリーやキャラクターのアイデアを練り上げることから始まります。その後、プロット(物語の筋や構想)やコンセプトの大枠を編集者に提案し、内容の魅力や商業的成功の可能性を評価されます。この段階では、独創性に加え、読者ニーズや時代の流れに合ったテーマの選定が重要視されます。編集者との連携を通じて作品の方向性が調整され、商業的成功を目指した企画が進行します。

2.編集者との共働作業

編集者は、作者のアイデアを具体化するために積極的にサポートします。その役割には、プロットの精査や改善、登場人物や設定の調整、ターゲット読者に合った内容への最適化などが含まれます。

制作初期段階ではネーム(ストーリーやコマ割りの下書き)が作成され、編集者と協力して改善を重ねます。この過程では、作者と編集者が緊密な信頼関係を築くことが、作品の完成度を高める鍵となります。

3.作画と仕上げ

ネームが編集者から承認されると、作者やアシスタントが本格的な作画作業に入ります。この段階では、背景の描き込みやキャラクターの細部表現、トーンの貼り付けなどを行い、作品を完成形へと近づけていきます。近年ではデジタル作画の普及により、専用ソフトウェアを使用した効率的な制作が一般的となり、クオリティと作業スピードの両立が可能になっています。

4.掲載後の反響調査

完成した漫画は雑誌やオンラインプラットフォームに掲載され、読者へ届けられます。掲載後は、読者アンケートや販売データをもとに反響が分析され、作品の人気や評価が測られます高い支持を得た作品は連載が継続されるだけでなく、単行本化やグッズ展開、アニメ化といった多角的な展開が期待されます。また、読者の意見や反応は、次回作やシリーズ全体の方向性を決める重要な指針として活用されます。

広告漫画の制作過程

1.企業や広告代理店からの依頼

広告漫画は、企業が自社商品やサービスを効果的に宣伝するため、直接または広告代理店を通じて漫画制作会社に依頼して制作されます。依頼時には、商品の特徴やマーケティング目標、想定するターゲット層などの詳細が共有されます。

制作においては、企業のブランドイメージやプロモーションの目的に合致したストーリーやキャラクターが提案され、内容が企画段階から綿密に練り上げられます。この工程を通して、広告効果を最大化する漫画が制作されます。

2.商品やターゲットの分析

広告漫画の制作に入る前に、商品の特徴やターゲット層の嗜好、競合の状況を詳しく分析します。

  • 商品の強みや特徴をストーリーに反映
  • ターゲット層の関心や悩みに共感できる構成
  • エンターテインメント性と広告要素のバランスを調整

上記をクライアントと協議を重ねて具体的な方向性を決定します。この工程を経て、ターゲットに響く効果的な広告漫画の制作が可能となります。

3.広告漫画の制作

広告漫画の制作は以下のようにすすめられます。

  1. プロット作成
    ターゲット層が共感できるストーリーやキャラクター設定を練り込み、商品やサービスを違和感なく物語に取り入れます。
  2. ネーム作成
    コマ割りやセリフの配置を決めた下書きを作成し、クライアントのフィードバックを基に修正を重ねます。この段階で、内容の流れや視覚的な構成を精査します。
  3. 本制作
    キャラクターや背景を細部まで描き込み、トーンや色付けを施して完成させます。商品のロゴやカラースキームなど、ブランド要素をデザインに反映し、企業のイメージを効果的に伝えます。

4.広告漫画の掲載や配信

完成した広告漫画は、さまざまな媒体で効果的に活用されます。主な活用先としては、

  • 企業のウェブサイト
  • SNS(Twitter、Instagram、Facebookなど)
  • 動画広告
  • チラシやパンフレット
  • プレゼン資料

などオフラインとデジタルの両方で利用されます。公開後には、アクセス数やシェア数、エンゲージメント率といったデータを基に効果を測定し、必要に応じて改善案を検討することで、次回以降の施策に反映させます。この工程を行うことにより、広告漫画の効果を最大限に引き出すことが可能です。

商業漫画の例

商業漫画の売上上位作品の多くは、週刊誌『週刊少年ジャンプ』『週刊少年マガジン』『少年サンデー』『ビッグコミック』といった有名雑誌に掲載されています。

ONE PIECE5億部週刊少年ジャンプ
ゴルゴ133億部ビッグコミック
名探偵コナン2億7000万部少年サンデー
ドラゴンボール2億6000万部週刊少年ジャンプ
NARUTO -ナルト-2億5000万部週刊少年ジャンプ
SLAM DUNK1億8500万部週刊少年ジャンプ
金田一少年の事件簿1億部週刊少年マガジン

2024.12月調査

広告漫画の例

広告漫画には、以下のような使われ方が一般的です。

  • 商品の使い方を解説する漫画
  • サービスの体験談を描いたストーリー漫画
  • SNSで話題となったキャンペーン用漫画

フーモアで制作した広告漫画は下記から見ることができますので、是非参考にしてみてください。

商業漫画家の働き方や特徴、収入目安

商業漫画家は、週刊誌や月刊誌に定期的に作品を発表し、原稿料や単行本の印税を主な収入源としています。その職業には以下のような特徴があります。

  1. 厳しい締め切り
    週刊誌や月刊誌の締め切りスケジュールは非常にタイトで、制作に追われる日々が続き、私生活に影響を及ぼすことがあります。
  2. 収入の変動
    作品の人気や売上に大きく左右されるため、収入が不安定になることも少なくありません。
  3. 制作支援ツールの活用
    効率的な作業を支えるために、アシスタントやデジタルツールを活用する機会が多く、チーム体制での制作が一般的です。

商業漫画家の収入は、キャリアや作品の人気度によって大きく異なります。以下に一般的な目安を示します。

新人漫画家

  • 年収目安:100万円~300万円程度
    週刊誌や月刊誌での掲載や単行本の初版印税が主な収入源です。ただし、アシスタント費用や制作環境の維持費などを差し引くと、手取り額はさらに少なくなる場合があります。

中堅~人気作家

  • 年収目安:1000万円以上も可能
    週刊誌の原稿料は1ページあたり1万円~3万円が一般的で、1話あたり20ページの場合、1連載で20万~60万円の収入が得られます。週刊誌が年間約50号発行されるため、年間収入は1000万~3000万円が期待できます。

トップクラスの漫画家

  • 年収目安:数億円~
    大ヒット作品を持つ漫画家は、単行本の印税、アニメ化や映画化のライセンス収入、関連グッズの売上など多方面から莫大な収益を得ることが可能です。

アシスタント費用

年間費用:250万円~300万円
アシスタントの雇用は、連載を円滑に進めるために必要ですが、収入から大きな支出となることもあります。

競争の厳しさ

2024年11月に開催された「少年ジャンプ+×note 原作漫画賞」には3,416件の応募がありました。この中で連載の機会を得られるのは数名程度と、業界の競争は非常に激しいです。しかし、狭き門を突破すれば、漫画家としての大きな成功と高収入を得る可能性があります。

広告漫画家の働き方や特徴、収入目安

広告漫画家は、企業や広告代理店からの依頼に基づいて漫画制作を行う専門職であり、以下のような特徴があります。

  1. クライアントの意向に応じた漫画制作
  2. 納期や修正が頻繁に発生する

収入目安

  • 案件単価:1万円~数十万円
  • 継続案件の場合は月収数十万円以上も可能

収入は案件単価が数万~数十万程度と幅広く、継続案件を獲得することで商業漫画家と比較すると収入の安定性は高い傾向がありますが、トップクラスの商業漫画家のように数億円の収入が見込める職業ではありません。また、アシスタントを雇うこともあまりないため1人ですべて制作することが一般的です。

広告漫画家はクライアントのブランドメッセージや広告戦略を視覚的に伝えるため、ビジネスにおいて重要な役割を担っており、広告漫画の需要は年々高まってきています。

まとめ

商業漫画と広告漫画は、それぞれ異なる目的やターゲットを持ち、制作される過程や内容に明確な違いがあります

商業漫画は、エンターテインメントを提供することで読者を楽しませることを主な目的とし、ストーリー性やキャラクターの魅力が重視されます。一方、広告漫画は、企業の商品やサービスの特性を効果的に伝えるために作られ、ターゲット層に合わせたストーリーや構成が求められます。

どちらの分野でも、漫画という独自の表現を活用し、多くの人々にメッセージを届ける役割を果たします。

FAQ

Q

商業漫画と広告漫画の違いは?

A

商業漫画はエンターテインメントを提供し、ストーリーやキャラクターに重点を置いて単行本として販売されます。一方、広告漫画は商品やサービスの宣伝を目的に短編で制作され、無料で公開され購買意欲を高めることに特化しています。このように、目的や展開方法に明確な違いがあります。

Q

商業漫画とは?

A

商業漫画は雑誌やオンラインで公開され、読者を楽しませるエンターテインメント作品です。魅力的なストーリーやキャラクターが重視され、単行本として販売されます。作者はアイデアを練った後、編集者と共に協議し制作を進めます。掲載後は読者の反響を分析し、連載の継続や商品展開へとつなげることで、商業的な成功を目指します。

Q

広告漫画とは?

A

広告漫画は、企業や団体が商品やサービスを宣伝するために制作する漫画です。ストーリーやビジュアルを活用してユーザーの共感を呼び、購買意欲を高めます。通常は短編で無料公開され、ブランドイメージに合わせて企画・制作されます。ターゲット分析を基に効果的な内容を作り、ウェブやSNS、チラシなど多様な媒体で配信されます。