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プラスひと手間で広告漫画を魅力的にするテクニック8選

プラスひと手間で広告漫画を魅力的にするテクニック8選
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広告漫画は、商品やサービスの魅力を視覚的に伝える効果的なコンテンツですが、読者に響く漫画を作るには、ただ情報を詰め込むだけでは不十分です。セリフの量や行間、構図、発色のバランスを工夫し、読みやすく興味を引く演出が求められます。本記事では、セリフの最適な配置や視線誘導、配色のポイントなど、魅力的な広告漫画を制作するための具体的なテクニックを解説します。広告漫画の質を高め、より効果的な作品を作るためのヒントを学びましょう。

魅力的な広告漫画の作り方

良い広告漫画とは、ターゲット層に合わせた絵柄とストーリーで、商品やサービスのアピールポイントを自然に伝えることができます。広告漫画では、キャラクターが抱える課題を明確に提示し、読者に共感を呼び起こすことが重要です。その上で、シナリオに沿って商品利用による成功体験を描くことで、読者は疑似体験を通じて商品の魅力を実感し、購買行動やアクションを自然に促されます。
広告漫画を構成する要素はいくつかありますが、ここでは好まれる広告漫画の描き方についてご紹介します。

セリフを多くしない

商品のPRポイントをすべてセリフで伝えようとすると、漫画の魅力が損なわれ、読者が情報を把握しにくくなります。ページ数が限られているにもかかわらず、コマの大半がセリフになってしまう広告漫画が多く見られます。

読みやすい広告漫画を作るためのポイントは、まず1行あたり4~8文字、最大5行という基本的なセリフ量を守ることです。もし文字数が多くなる場合は、適宜吹き出しを追加し、視認性を損なわない工夫が求められます。

広告漫画はクライアントの意向が反映されるため、説明をすべてセリフに頼ると、どうしても読みづらくなりがちです。その際は、背景にアイコンを配置する、絵で情報を補完するなど、文字数を削減する方法を検討しましょう。また、セリフを修正する場合、重要なキーワードが失われないよう、事前に制作会社やクライアントと十分に協議することが大切です。

セリフの行間を120パーセントに設定する

行間が狭いと、セリフに圧迫感が出て読みづらい印象を与えます。
行間の設定はクリップスタジオの場合、ツールプロパティから変更できるので、120%程度に設定します。

←100%行間 120%行間→

たった20%の違いですが、120%のほうが読みやすく感じるのではないでしょうか。このひと手間を加えるだけで読みやすい広告漫画になりますので試してみてください。

吹き出しの余白を確保

吹き出しの余白の有無でも読みやすさが変わります。 セリフが多くなってしまうと、吹き出しのスペースが足りず狭くしがちですが、ネームの段階から読みやすいサイズを確保できるコマ割りを心がけましょう。

また吹き出しはテンプレートの使用をおススメしています。フリーハンドで描くと自然な会話表現が可能ですが、綺麗な楕円の作画は難しくゆがみやすいデメリットがあります。テンプレートを使用することで安定した線が短時間で量産できるので効率的に仕上げることができます。

ただし、案件によってはあえて手書きの温かみある吹き出しや、コラムテイストの演出が求められる場合もありますので、その案件の求めるテイストをしっかり見極める必要があります。

吹き出しの位置、視線誘導を意識する

漫画を描く上で吹き出しの位置も非常に重要です。漫画の一般的な読み進め方は「セリフ→絵」であり、縦書きの場合は右から左へと流れるため、吹き出しの配置が流れに逆行すると読みづらくなり、内容が伝わりにくくなるリスクがあります。

また、フォントや吹き出しの形でもキャラクターの感情やスピードを演出することができるので絵の補助約として吹き出しの役割を明確にしましょう。

重要なセリフは一番最初に目に留まる位置に設置することが良い広告漫画とも言えます。

読みやすいフォントサイズ

元漫画編集者で漫画家のサノマリナ先生がツイートでフォントサイズや行間など、文字入れについてわかりやすくまとめています。

上記で紹介しているQ数(=級数/フォントサイズ)は、環境設定で「Q」や「pt」に変更できます。10Q(級)が約7ptなので、広告漫画では12~14ptが最適なフォントサイズと言えます。

広告漫画では、緩急をつけたいセリフを除きフォントサイズは一定になるよう調整しましょう。特殊なコマ割りをあまり使わない広告漫画では、フォントサイズを一定にすることで視認性が上がります。

広告漫画は先に決まったフォント数で文字を配置し、それを囲むように吹き出しを描くことでページ全体の構成が見ることが可能です。上記で説明した吹き出しの位置や視線誘導を意識しながら制作を続けましょう。

煽り俯瞰構図を工夫する

商業漫画でも広告漫画でも構図の良し悪しで作品の評価は大きく変わります。↓は一般的な構図と工夫した構図の漫画を比較したものです。

←一般的な構図 凝った構図→

一般的な構図でも内容は理解できますが、右の漫画は1コマごとにカメラワークが異なり、場所やキャラの立ち位置もわかりやすく、世界観が伝わってきます。

メインキャラだけでなく背景やモブの書き込みまであると奥行きが出てきますが、作画に時間がかかるため、3D素材などの時短テクニックを駆使して仕上げましょう。

顔漫画にならない構図

広告漫画はセリフ量が多いため、凝ったコマ割りや構図が難しく、いわゆる「顔漫画」になってしまうことがあります。顔漫画は作画が楽ですが、動きがなく単調に見えてしまうので、少ないスペースでも動きが出るような構図で仕上げてみましょう。

発色の良い色とは

作品全体が明るく見える作品と、暗い印象を持つ作品があります。演出でなければ発色が鮮やかな作品が好まれますが、配色は広告漫画家の作家性やセンスによって変わってきます。また、CMYKやRGBの発色方式の知識があるかどうかでも完成品の仕上がりは違ってきます。
正解の色があるわけではないのですが、好ましい色合いをご紹介します。

  • 発色悪い肌影色(左):C:4 M:19  Y:40 K:0
  • 発色悪い肌影色(左):C:4 M:19  Y:40 K:0
  • 発色良い肌色 (右):C:1 M:13  Y:11 K:0
  • 発色悪い肌影色(右):C:0 M:31  Y:28 K:0

発色良い肌色はM版とY版の数字が低く近いことがわかります。もちろん、性別や年齢などによって適切な色合いは異なりますので、どういった色合いがそのキャラを引き立てられるのかという観点を持って着彩してみましょう。
お絵かき講座パルミーさんのツイートで影色の考え方がツイートされています。

肌色と影色の配色だけでも全体の雰囲気は大きく変わりますので、見栄えがよく自分の絵柄に似合う配色を見つけてみてください。

良い広告漫画の描き方まとめ

  • セリフを多くしない
  • セリフの行間を120パーセントに設定する
  • 吹き出しの余白を確保する
  • 広告漫画では12~14ptが最適なフォントサイズ
  • 構図を工夫して視線誘導も意識する
  • 顔漫画にならない構図にする
  • 発色良い肌色はM版とY版の数字が低く近い

文字の入れ方や、色合いに至るまで、良い広告漫画のノウハウをまとめました。広告漫画に限らず使えるスキルですので、漫画を描いている方も是非参考にしてくださいね。

FAQ

Q

良い広告漫画の描き方のポイントは?

A

良い広告漫画の描き方は、セリフを絞り行間は120%に設定し、吹き出しの余白を十分に確保することが基本です。フォントは12~14ptで統一し、視線誘導を意識した構図で顔漫画にならないよう工夫します。また、発色の良い肌色はM版とY版の数字が低く近い配色を目指すことで、視認性と説得力のある仕上がりが得られます。

Q

なぜセリフを多くしてはいけないの?

A

セリフを多用すると、ページが文字で埋め尽くされ、漫画の魅力が薄れて読者が情報を把握しにくくなります。漫画は「見る」媒体なので、必要な情報は絵やアイコンで補い、セリフは最小限に抑えることが読みやすさを保つポイントです。