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“読まれる漫画”の描き方を漫画制作会社が教えます!

“読まれる漫画”の描き方を漫画制作会社が教えます!
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漫画は描くだけでは終わりません。誰かに読まれ、感想や評価を得たときに初めて「完成」します。読まれる漫画には共感できるテーマや魅力的なキャラクター、テンポの良いストーリーが欠かせません。一方で曖昧なテーマや伝わりづらい構成は読者を遠ざける要因になります。さらに、漫画制作では構想・キャラクター設定・ネーム作成などの工程が重要です。この記事では、読まれる漫画を作るための基本的な描き方や工程を具体的にご紹介します。

フーモアは、漫画制作の豊富な実績を誇る制作会社であり、多くの経験豊かな広告漫画家が在籍しています。資生堂様や渋谷109様といった誰もが知る企業の漫画制作にも携わり、その高いクオリティが評価されています。今回は、そんな業界で活躍するプロの漫画家たちが、漫画の描き方を丁寧に伝授します。

漫画は描くだけでは完成しない。誰かに読まれた時に完成する!

商業漫画や広告漫画、さらには同人活動の作品においても、漫画は描くだけでは終わりません。その作品が「完成」と呼べるのは、読者に読まれ、その中で感想や評価を得たときではないでしょうか。なぜなら、漫画を描く目的には必ず「読まれる」ことが含まれており、その過程を経ることで本来の役割を果たします。

読まれる漫画にはいくつかの特徴があります。

まず、魅力的なテーマやキャラクターの存在が重要です。読者が共感できるストーリー構成や、テンポの良い展開、そして読みやすいコマ割りや画面構成が、物語への没入感を高めます。さらに、読み終わった後に感動や満足感を得られる作品は、多くの人の心に残りやすくなります。

一方で、読まれない漫画には、テーマが曖昧であったり、キャラクターの魅力が欠けていたり、ストーリーがわかりにくいという問題が見られます。このような作品は、読者の興味を引くのが難しいのです。

漫画の「絵の上手さ」は必ずしも読まれる要因の上位に来るわけではありません。もちろん絵の魅力は大切ですが、それ以上にテーマの明確さやストーリーの工夫、キャラクターの個性といった他の要素が、作品への評価に繋がります。とはいえ、絵が上手いことや読者の好みに合わせられるスキル、バリエーション豊富な画風は、漫画を描く上で非常に有利な要素です。

もう少しわかりやすく、実際に漫画を描いたと仮定してABテストを行ってみましょう。

A.目的(道筋)が定まっている

B.目的(道筋)が定まっていない

A.テーマが定まっている

B.テーマが定まっていない

A.キャラクターが定まっている

B.キャラクターが定まっていない

A.起承転結で変動する

B.起承転結で変動しない

A.流行の絵面に寄せる

B.流行の絵面に寄せない

いかがでしょうか?Aの方が漫画らしい魅力を感じ取れたのではないでしょうか。何気なく読み進めるうちに、自然と内容が頭に入り、気が付けば時間を忘れて読み込んでしまう――そのような漫画は、基本となる要素がしっかりと作り込まれています。

読まれる漫画の描き方

ここから「漫画の描き方」を具体的にレクチャーしていきます。

まず重要なのは、漫画を描き始める前に構想(全体像の決定)を練ることです。この段階をおろそかにすると、キャラクターの行動や言動が曖昧になり、テーマや目的そのものが途中でブレてしまう可能性があります。結果として、「何を伝えたいのか」「何のためのシーンなのか」が読者に伝わらず、読みづらい漫画になってしまいます。

このような事態を防ぐために、設定やプロットをしっかりと固めることが大切です。登場キャラクターの性格やバックストーリー、物語の流れやテーマ、各シーンの目的など、具体的な内容を事前に明確にしておきましょう。

時間配分の目安としては、構想に2割、作画に8割の割合で進めると良いでしょう。たとえば、1ページあたり4時間の作画時間を必要とする場合、100ページの漫画を完成させるには合計400時間が必要になります。そのうち1時間弱を構想に充てるのが理想的です。

漫画制作の目標

まずは目標を設定しましょう。
この漫画が何を目指しているのかを明確にすることで、テーマやキャラクター、その行動に意味が生まれます。

例えば、

  • 魔王を倒す
  • 好きな人と付き合う
  • 日常を描く

など箇条書きで単純明快なもので文字のみがよいでしょう。

テーマ

テーマとは、物語の根幹となる「話の筋」です。
目標に向かって展開していくストーリーの中で、テーマが作品全体を支える重要な要素となります。

テーマを設定する際には、複数のテーマを組み合わせることも可能ですが、相性の悪いテーマを選ぶと漫画制作の難易度が大幅に上がります。

例えば

  • 友情、愛情、絆
  • 挑戦、努力、成長
  • ギャグ、笑い

こちらも、箇条書きで単純明快なもので文字のみがよいでしょう。

キャラクター

キャラクターを設定するのは非常に難しい作業です。
外見や性格を決めて満足してしまう方も多いようですが、それだけでは物語が進むにつれてキャラクターの一貫性が崩れてしまうことがあります。

他のキャラクターや状況の変化が絡むシーンでは、キャラクターの行動や言葉がどのように展開されるのかをあらかじめイメージしておくことが大切です。たとえば、この状況ではキャラクターAがキャラクターBにどんな言葉をかけ、どのように関わるのか、といった具体的な描写を考え、書き出しておくとよいでしょう。

また、主人公以外のキャラクター設定も同様に丁寧に進め、シーンごとの関係図を作成することをおすすめします。物語が進み状況が変化したタイミングで関係図を更新することで、キャラクターの行動や関係性にブレがなくなり、物語全体がしっかりとした基盤の上に成り立つようになります。

さらに、読者にキャラクターの関係性を分かりやすく伝えるために、漫画の見出しやキャラクター紹介ページに関係図を挿入するのも有効な手法です。特に人間関係を描く漫画では効果的で、読者が全体像を一目で把握できるため、“読まれる漫画”を作る上で役立ちます。

キャラクターの設定は、文字だけでは表情や仕草を十分に表現することが難しく、説明が長くなりがちです。そのため、キャラクターごとに複数の絵を描いて設定を作り込みましょう。

プロット

目標・テーマ・キャラクターが設定できたら、次にプロット作りに進みましょう。
プロットとは、映画やドラマで言う「台本」、アニメで言う「絵コンテ」の前段階にあたるもので、文字だけで漫画の全体像やストーリー展開、最終的な結末までを書き出したものです。

ストーリーを作る際は、「起承転結」を意識して進めましょう。起承転結は物語全体だけでなく、シーンごとにも適用できます。ストーリー全体に加え、各エピソードやシーンの中にも小さな起承転結を組み込むことで、ストーリーが常に動き続け、読者を退屈させるリスクを減少させます。

プロットが完成した時点で、漫画の構成はほぼ仕上がった状態になります。この段階までで、全体の約50%の工数を費やしている計算です。

ネーム

ネームとは、漫画におけるコマ割りのことです。
プロットをもとにストーリー全体から各シーンを切り出してコマ割りにしていく作業を指します。ネームをイメージしやすい例としては、アニメの一場面を切り取り、そのシーンのセリフを吹き出しに入れていく作業だと考えるとよいでしょう。

ネームの段階では、詳細な絵を描く必要はありません。重要なのは、そのシーンでのキャラクターの表情や仕草が伝わることです。この段階では時間をかけすぎず、全体の流れや構成を確認しながら進めることを意識しましょう。ネームをしっかり作ることで、漫画制作の後半がスムーズに進行します。

アタリ+下絵

下絵とは、ネームをさらに詳細に描き込み、「あとは主線を描くだけ」の状態に仕上げたものです。参考画像のように、この段階では漫画としてほぼ完成しており、読者が読んでも内容が理解でき、十分に楽しめる状態になっています。

これが漫画制作における基本的な流れです。ただし、描き慣れたプロの漫画家の場合、この下絵とネームの境界線は人によって異なります。
ネームの時点で非常に詳細な描き込みを行う作家もいれば、下絵の段階でもネームとほぼ変わらない簡易な描き込みしか行わない作家もいます。このように、ネームと下絵の境界線や作業スタイルには幅があるため自分が作業しやすい工程を築いていきましょう。

ペン入れ

ペン入れとは、下絵を線でなぞり、絵を確定する作業のことです。
下絵の段階では線の表現が曖昧でしたが、この作業によって線を明確にし、より漫画らしい仕上がりになります。

また、使用するペンの種類によって漫画全体の印象が大きく変わります。一般的なボールペンや万年筆、マジックのようなペンに加え、漫画制作では特にGペンや丸ペンといった線の強弱をつけやすいペン、あるいは速乾性のあるミリペンなどがよく使われます。

デジタル作画の場合、書き味がカスタマイズされたペン素材が数多く配布されており、それを活用することで漫画の仕上がりの幅が大きく広がっています。

1本のペンだけですべてを仕上げるわけではなく、それぞれのペンの特徴を理解し、適材適所で使い分けることが重要です。

トーン

トーンとは、模様が印刷された薄いフィルムのことです。これを使用することで、細かい模様や陰影を簡単に表現することができ、制作時間を大幅に短縮できます。

昔の漫画にはトーンが存在せず、表現手法が限られていました。しかし、現在ではデジタル作画が主流となり、トーンデータをダウンロードすることが一般的になりました。クリック1つで簡単にトーンを貼ることができ、従来の手作業に比べて費用や時間を大幅に削減できるようになっています。

たとえば、同じ表情のキャラクターでも、背景に使用するトーン次第でまったく異なる印象を与えることができますので、シーンに合ったトーンを積極的に利用していきましょう。

完成

トーン貼りまで終えたら、完成した漫画を応募企画へ提出やWEBにアップしてみましょう。
また、印刷所を利用すれば製本まで対応してもらえるため、個人で漫画を出版することも可能です。

近年ではPCやタブレットを使用してデジタルで製作することも多いです。応募もデータで応募する機会が増えてきていますので、デジタル製作に切り替える方が非常に増えてきました。今回ご紹介した方法は、一般的な紙媒体での漫画製作になりますが、デジタル製作でも工程は同じです。

自分の作品を世に送り出しやすい環境となったことで、より多くの人に読んでもらうチャンスを得られます。ぜひ創作活動の新たなステージに進む一歩を踏み出してみてください。

FAQ

Q

漫画を描く上で大事はことは?

A

漫画を書く上で大切なのは、単に絵が上手いだけでなく、読者にしっかり「読まれる」作品に仕上げることです。魅力的なテーマと個性豊かなキャラクター、明確な起承転結によるストーリー展開、そして読みやすいコマ割りやレイアウトが必須です。読者が共感し、没入できる内容を作ることで、作品は真の完成形となります。

Q

漫画を描く流れは?

A

漫画を描く流れは、まず全体構想で目的、テーマ、キャラクターを明確にし、物語のプロットを練ることから始まります。次に、ネームでコマ割りやシーン配置を決め、下絵で各シーンの詳細を描き込みます。ペン入れで線画を確定し、トーンで陰影や質感を加えて仕上げ、最終的に完成作品として発表します。